スピッツ - 三日月ロック

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みんな大好きスピッツの10枚目のアルバム。 2002年発表。
収録曲の4曲がシングルで、けっこう多いなと感じますが、アルバム曲も同じぐらい、曲によるとシングル曲よりも目立ってます。特にアルバム冒頭を飾る「夜を駆ける」の程よい疾走感と切なさは素晴らしい。ピアノとギターが織り成す君と僕だけの夜の市街地。何度聴いてもグッときます。
続く「水色の街」もサビがラララーしか言ってないのに違和感がまったくなく、とてもとてもメロディアス。シングル盤のジャケット通りの深い青色に包まれぼやけた街が浮かんできます。
「さわって・変わって」は「水色の街」で君に会いたくて川を渡ってきた僕が駅で君に出会うところでしょうか。
ポップでウキウキしてくるような曲調に載せた「君のよれた笑顔」という歌詞が無性にいいなと思います。
他にも僕が個人的にスピッツの中でもトップクラスに好きな「遥か」やスピッツとしてはヘヴィーな哀愁感がたまらない「ガーベラ」、爽やかな海風が頬に当たるような「海を見に行こう」などどの曲も粒揃いで捨て曲がありません。
アルバムの締め方もニクい。実質的に最後の曲は「旅の途中」で柔らかな陽光に包まれ穏やかな終わりを迎えるかと思いきや、最後の最後に汗まみれの聖火ランナーが目に浮かぶような「けもの道」でスケールでかくドカーンと派手にアルバムを結びます。
この終わり方からも感じ取れるようにこの頃のスピッツはバンドとしても精気に溢れ、覇気が漲っていたのだなと思います。草野さんの歌詞も言葉が一人歩きせず簡潔な短いセンテンスでも曲をグッと際立たせることに成功しています。
例えば先ほどの「海を見に行こう」での、
「明日 海を見に行こう
眠らないで二人で行こう
朝一番のバスで行こう
久しぶりに海へ行こう」
や、
「旅の途中」の、
「君はやってきた
あの坂道を かけのぼってやってきた」
などは歌詞だけ見るとあまりにもシンプルですが、曲と一緒に聴くと急に情景が浮かび上がります。

僕がスピッツの最高傑作と思っているこのアルバム、改めて聴きなおしてみては。