Neurosis - Honor Found In Decay

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目下のところ最新作に当たるサンフランシスコのヘヴィ・ロックバンドNeurosisの10枚目。2012年発表。
世間での評価は「停滞した」「アルビニと付き合い長くなり過ぎて面白くなくなった」とか言われててあまり芳しくないようですが、僕は嫌いじゃない、というか好きですかなり。
僕はNeurosisリスナーとしてはマイノリティだと思うんですよね。何故かというと世間では名盤と謳われてる「Times of Grace」が好きじゃないからです。
あれはちょっと僕には壮絶過ぎて最後まで聴き通すことがどうしてもできません…。
その点このアルバムはいい意味で「丸くなった」と言えるのではないでしょうか。
今までのように火山が噴火し、大地が割れ、雷鳴が轟くような壮絶な大音響は聴くことができませんが、その代わりに豊穣さや温かさをNeurosisは手にしたように感じます。
特に「My Heart For Deliverance」の中間で聴かれるギター(アコギかな?)の音色とメロディは、決してこのバンドが軟弱になったのではないと感じられる説得力を持って響きます。 全般的なホーンの使われ方も、今までは荒れ果て乾ききった大地を想起させましたが、今作では世界を憂うような少しウェットな音色になっています。

確かにアルビニプロデュースがあまりに長い事は僕も少し思うところがあります。ロックバンドには常に変化・進化していく貪欲さを持っていて欲しいから、常に同じプロデューサーを起用し続ける事はいわゆる「停滞」「閉塞」を招く原因になる危険性を孕むと思うのです。
しかし、「今のところ」それはまだ大丈夫だと思います。それにNeurosisはそもそもPrimal Screamみたいにアルバム毎に音楽性を劇的に変化させるバンドではなく、あたかも季節が移り変わるようにゆっくりと自身の音楽を進化・深化させてきたバンドでした。
そう考えれば、今作も着実な進化・深化の元に生み出された確かな作品なのではないでしょうか。