川本真琴 - 音楽の世界へようこそ

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前作の「gobbledygook」から実に9年振りにリリースされたフルアルバム。
僕は多くの人がそうであるように「1/2」しか知らなかったのですが、このアルバムから先行で公開された「アイラブユー」を聴いてビビッときたのが経緯です。
この曲があまりに良かったのでそのままアルバムを買いました。直感で「これは持っておくべきだ!」と感じたのです。
結果として今でもこの判断は正しかったと思っています。
音楽としては「さよならストレンジャー」の頃のくるりみたいな感じですが、詩や世界観は青臭い10台後半の悩みや恋愛ではありません。
精神的にも年齢的にもにすっかり成熟した川本真琴という人の人生観でしょうか。しかし難しい言葉やオカタイ説教をたれる事は全くなく「私は最近こういう風に感じてるの」というような肩の力を抜いた自然体な態度がとても心地よいです。
僕の特に好きな曲は上述した「アイラブユー」はもちろん、淡々とした曲展開の中に苔の香りがしてきそうな「石の生活」、ピアノの綺麗なメロディと幸せな気持ちがこちらにも移ってきそうな「ポンタゴ」です。
全体に丁寧に丁寧に手作りで作られた感じで、鳥の鳴き声や海の波の音だけの曲があり、また楽器の音色にも温かみが感じられます。
青筋を立ててロックロックとがなる音楽や売り上げの瞬間風速だけを狙って作られたインスタントミュージックが蔓延る中ひっそりとリリースされたとっておきの避暑地-もしくは自分の中にだけ存在する帰るべき場所-のようなこの音楽、好きになれたなら一生ものになるかもしれません。