The Cooper Temple Clause - See This Through and Leave

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今は解散してしまったイギリスのロックバンドのデビューアルバム。 2002年発表。
音楽的にはいかにもRadioheadPrimal Screamが好きな若者のエレクトリック・ロックって感じですが、それらのバンドを超えてやる!っていうがむしゃらなエネルギーを感じます。 ヴォーカルがかなりまんまリアム・ギャラガーなのはご愛嬌。
とにかく全体を通じてめちゃくちゃなまでの攻撃性や躍動感が凄まじくてそこに意識がいきがちですが、音の選び方やメロディセンスは本当にイイです。
1.「Did You Miss Me?」のイントロのピコピコ音はその開始数秒で夜のイギリスの町や暗い部屋に誘い込んでくれますし、6.「Digital Observations」はシンセとギターのメロディの絡みが何とも薄ら寒い雰囲気を出しながら徐々に他の楽器が増え盛り上がる展開が素晴らしい。
ちなみに「Did You Miss Me?」は歌詞も個人的に好きです、別れた彼女への恨み辛みを吐き出してるだけ。Radioheadなんかの抽象的でパッと見何が言いたいかわからない歌詞もそれはそれでカッコいいしクールですが、こうゆうスペーシーでヘヴィなロックサウンドに失恋の歌詞を乗せるっていうのはなんとゆうか、ツボです。他の曲もそうゆう若者のヘタレで鬱々としてて少しパラノイアックな呟きばかり。
「壁の方を向いててくれ、俺は飲んでるだけなんだ」
「恋愛の方はどう? うまくいってないって? そりゃ、よかった」
「また犬の調教だ、お宅の可愛い娘さんに噛みついてやるように」
これらの歌詞に呼応するように、曲も「Let's Kill Music」を覗いて全てジメジメと暗くて鬱々としたものばかりです。 しかも少し長めのものが多い。
オマケにこのジャケットのアートワーク、よく見てください…ゾッとしますよね? 僕はかなり好きですが。
しかし僕はもうこのアルバムをかれこれ10年以上愛聴しています。
このアルバムにパックされているのはもう戻ってこない若者の無軌道でめちゃくちゃな若さとエネルギー。そして思春期特有の感じやすさなのです。この暗さはそれらを嘘偽りなく表現したらこうなっただけなのです。(…と物凄く個人的に思ってます。)
10年以上失恋とか何か嫌なことあった時に夜の道をこれ聴きながら歩いてきたので、そういう思い出がずっとこのアルバムにまとわりついてたりして、そうゆう意味でも思い入れの強いアルバムだったりします。
音楽的に成熟する前に解散してしまったために認知度が低い彼らですが、UKロックが好きな人には是非とも聴いて欲しいアルバムです。